野球グローブを選ぶ際に、型や革、サイズなどをしっかりと検討する方は多いかと思います。その反面、ウェブに関しては、「かっこいい」「好み」といった理由だけで選ぶ方も少なくありません。
しかしウェブは、捕球の安定感や操作性などに影響するパーツであり、それぞれのウェブ形状がどんな特性があるのかまで理解して選ぶことも重要です。
ワンピース、H型、クロス、バスケットなど、ウェブの種類は多岐にわたりますので、この記事では、ウェブが担う本質的な役割から、代表的なウェブの特徴、ポジションに合わせた選び方などを詳しく解説します。
グローブのウェブにはどんな役割がある?
ウェブはグローブの使い心地を左右するパーツです。その役割は主に以下の2点となります。
1. 打球をホールドし、衝撃を吸収する

ウェブの最も重要な役割の一つが、強い打球の衝撃を受け止め、ボールをポケットにしっかりと収めるサポートをすることです。
フライやゴロ、ライナーを捕球する際、ボールはウェブ下のポケット部分に収めることが基本ですが、ウェブが柔軟に機能すれば、強い打球や際どい球際など、ポケットだけでは捕球できないボールもしっかりとグローブに収めることができます。
ウェブの形状によって、サードや外野手のようにしっかりと捕球することを目的としたものや、ショートやセカンドなどの素早いスローイングに対応できるよう、浅く捕球できるよう作られたものなどがありますので、この辺りも考慮してグローブ選びをすると良いでしょう。

2. 投手の「握り」を打者から隠す目隠し

投手にとっては、ウェブは単なる捕球補助パーツ以上の意味を持ちます。それは、球種の握りを打者から隠すという重要な役割です。
変化球か直球か、球種によって指の握り方が変わるため、その握りがグローブの隙間から見えてしまうと、打者に球種を読まれてしまうリスクが高まります。そのため、投手用グローブでは、中が見えないように隙間が少ないウェブ(ワンピースやバスケットウェブなど)が採用されることがほとんどです。
グローブのウェブの種類と特徴を解説
ウェブの種類は多岐にわたりますが、ここでは最も代表的で、よく選ばれる5種類のウェブについて、それぞれの特性と適したポジションを詳しく解説します。
1. ワンピースウェブ

ワンピース(One Piece)ウェブは、その名の通り一枚革で構成されたシンプルなウェブです。
革が一体化しているためグローブの開閉がしやすく、ポケットも深くなりにくいのが特徴。その扱いやすさから、操作性が求められるセカンドやショート向けのグローブに採用されることが多くあります。
また、隙間のない構造は球種や握りを隠しやすいため、ピッチャー用グローブのウェブとしても広く使われています。
2. バスケットウェブ

バスケットウェブは、その名の通り革を編み込んで作られたウェブです。
構造としてはワンピースウェブに近く、ポケットが深くなりすぎないのが特徴です。
さらに、編み込み構造ゆえに柔らかくなりにくく、適度な硬さを保ちやすい点もバスケットウェブならでは。セカンドやショートを守る選手で、しっかりした硬さを残して使いたい方に向いています。
また、隙間のないデザインのため、昔からピッチャー用グローブのウェブとしてもよく採用されています。
3. ツーピースウェブ

ツーピース(Two Piece)ウェブは、上下2枚の革を繋ぎ合わせて作られたウェブです。
横方向には広がりにくい一方で、縦に長くなりやすい形状が特徴。隙間も少ないため、主にピッチャー用グローブで採用されることが多いウェブです。
日本では比較的マイナーな形状ですが、近年は大谷翔平選手が使用していることでも知られ、MLBの投手では非常に人気の高いウェブとなっています。
ただし構造上、横長(横型)のグローブとは相性が良くありません。横型の使い心地を重視する方は、ツーピースウェブは避けたほうがよいでしょう。
4. H型ウェブ

H型ウェブは、アルファベットの「H」を横に倒したような形をした、内野手用グローブの定番ウェブです。
紐だけで構成されているため、ポケットが深くなりやすく、革の使用量が少ないぶん軽量に仕上がるのが大きな特徴。セカンド・ショート・サードまで、幅広い内野手に愛用されています。
また、H型は比較的コンパクトなウェブに分類されるため、小さめのグローブが好みの方にもおすすめです。
5. クロスウェブ

クロスウェブは、縦と横の紐を交差させて組み上げた、内野手用・外野手用グローブで定番のウェブです。
交差する紐がしっかりと形を支えるため、適度な硬さを保ちながらポケットを作りやすいのが特徴。捕球時のボールの収まりが安定しやすく、特にサード・外野手用で人気が高いです。
紐の通し方により、開閉のしやすさと耐久性のバランスが良い点も魅力。内野手用・外野手用全般に適したオールラウンドに使いやすいウェブなので、ウェブ選びに迷えばクロスウェブを選ぶと良いでしょう。
6. ショックウェブ

ショックウェブは、複数の細い紐を縦方向に並べて組み上げたウェブで、ボールの衝撃を分散しやすい構造が特徴です。紐のしなやかさにより捕球時のショックを吸収し、ボールがポケットに“スッ”と収まりやすい設計になっています。
また、縦方向に通された紐によって開閉がスムーズで操作性が高い点も魅力。ポケットが深くなりすぎず、球際の素早い捕球や送球動作が求められる内野手・外野手全般に適したウェブです。
軽量で扱いやすく、柔らかく馴染みやすいタイプのウェブを好むプレイヤーにおすすめです。
自分に合ったウェブを選んでグローブのパフォーマンスを最大化しよう!
ウェブは、単に穴をふさぐためのパーツではなく、守備のパフォーマンスを最大化するための重要なカスタムポイントです。同じグローブでもウェブを替えるだけで使い心地は激変します。
ぜひ、ご自身のプレースタイルや好みの感覚を整理した上で、最適なウェブを選んでみてください!



