内野手のグローブ選びや守備の話になると、よく出てくるのが「当て捕り」「挟み捕り」「掴み捕り」という言葉です。なんとなく聞いたことはあっても、違いを正確に説明できる人は意外と多くありません。
実はこの3つの捕り方は、守備のスタイルだけでなく、選ぶべきグローブの型そのものに直結しています。自分の捕り方に合わないグローブを使うと、どれだけ練習しても「なんだか捕りにくい」という違和感が消えません。
この記事では、3つの捕り方の違いと、それぞれに合うグローブの型を、ポケットの深さや土手の作りといった細かい部分まで踏み込んで解説します。GSグローブの型番がなぜ「当て挟み型」「掴み型」という名前なのか、その理由もわかるはずです。
当て捕り・挟み捕り・掴み捕りとは? 3つの捕り方の違い

まずは、それぞれの捕り方がどういうものなのかを整理しておきましょう。
当て捕り:グローブの面に当てて、最速で握り替える
当て捕りとは、グローブでボールをつかみにいくのではなく、グローブの面にボールを当てて勢いを止め、投げる手で素早く握り替える捕り方です。ボールが面に当たった瞬間に、投げ手でふたをするようなイメージで行います。
最大のメリットは、捕ってから投げるまでのスピードです。ボールを当てる位置は、中指・薬指の付け根付近や土手のあたりが基本です。ここで当てることで、投げ手をいち早くボールにかぶせられます。
一方で、ボールをつかまないぶん、捕球の確実性は掴み捕りに劣ります。軟式ボールは軽く弾みやすいため、軟式での当て捕りは難易度が上がります。また、外野ではほとんど使わない技術なので、主に内野手、とくに二遊間の技術といえます。
挟み捕り:グローブを閉じて指先側で挟み込む
挟み捕りは、ボールがグローブに当たった瞬間に、グローブを閉じるだけでなく、指先側でボールを挟み込んでしっかりホールドする捕り方です。当て捕りと掴み捕りの中間のような位置づけで、確実性と握り替えの速さのバランスが取れています。
ポケットの奥深くまで入れずに、ウェブの下あたりで挟むように捕るのが特徴です。ボールが手のひらの奥まで入り込まないため、握り替えもそれほど遅くなりません。
ライナーやタッチプレーのように、「確実に捕りたいけれど、送球やタッチも速くしたい」という場面で力を発揮します。グローブを横に使う選手に好まれる傾向があるのも、挟み捕りの特徴です。
掴み捕り:ポケットの深いところで確実につかむ
掴み捕りは、グローブのポケットの深いところでボールを受け、しっかり閉じてつかむ捕り方です。3つのなかで最も捕球の確実性が高く、多くの選手が最初に覚える基本の捕り方でもあります。
デメリットは、深いところで捕るぶん、当て捕りに比べて握り替えの動作が遅くなりやすいことです。また、毎回しっかり閉じてつかむため、グローブの消耗が激しくなる傾向もあります。
外野手や三塁手など、強い打球を確実に止めることが最優先のポジションでは、掴み捕りが基本になります。内野手でも、基本は掴み捕りで、状況に応じて当て捕りを使い分けるのが理想とされています。
3つの捕り方の比較
| 捕り方 | 捕球の確実性 | 握り替えの速さ | 主なポジション | 合うグローブ |
|---|---|---|---|---|
| 当て捕り | △ | ◎ | 二塁手・遊撃手 | 小〜中サイズ・浅め |
| 挟み捕り | ○ | ○ | 内野全般・ライナー処理 | 中サイズ・ウェブ下で挟める形 |
| 掴み捕り | ◎ | △ | 三塁手・外野手・初心者 | 中〜大サイズ・深め |
どの捕り方が正解ということはありません。大切なのは、自分のポジションと守備スタイルに合った捕り方を選び、それに合うグローブを使うことです。
捕り方で変わるグローブの型

ここからが本題です。捕り方の違いは、グローブのどこにどう表れるのでしょうか。
当て捕り向きのグローブ:小さめ・浅め・広がる土手
当て捕り向きのグローブは、サイズが小〜中で、ポケットが浅めに作られているのが基本です。ボールを奥に入れずに面で止めるため、深いポケットはかえって握り替えの邪魔になります。
さらにマニアックな視点でいうと、土手まわりの作りも重要です。グローブの土手の折れ目(ヒンジ)を幅広くとった「ワイドヒンジ」は、ポケットが横に広がるため、当て捕りをする内野手に好まれます。捕球面を平らに近い状態で使えるので、ボールを当てる「面」を作りやすいのです。
掴み捕り向きのグローブ:中〜大サイズ・深め
掴み捕り向きのグローブは、サイズが中〜大で、ポケットが深めに作られています。ボールをしっかり奥で受け止め、閉じてつかむための形です。
掴み捕りでは、グローブを閉じたときに指先までしっかり力が伝わることが大切です。指先がふにゃっと逃げてしまうと、つかんだつもりのボールがこぼれてしまいます。そのため、指先の強さや、親指と小指がしっかり向き合って閉じる作りが重視されます。
挟み捕り向きのグローブ:ウェブの下で挟める形
挟み捕り向きのグローブは、当て捕り向きほど浅くはなく、掴み捕り向きほど深くもない、中間的な深さが基本です。ポイントは、ウェブの下あたりにボールを挟み込める形になっていることです。
挟み捕りでは、グローブを閉じたときに人差し指側とウェブが「挟む」力を生みます。そのため、人差し指まわりの強さがとても重要になります。人差し指側が弱いと、挟んだボールに押し負けてしまうからです。この「人差し指の強さ」を補強する仕様が、後で紹介するハミダシダブルです。
見落としがちな「芯トジ」の違い

グローブの土手の芯をどのように綴じているかを「芯トジ」といいます。大きく分けて「ヨコトジ」と「タテトジ」があり、この綴じ方によってグローブの握り方が変わります。
土手が硬く残る綴じ方は、挟むように深くポケットを使う捕り方に向いています。一方、土手が柔らかい綴じ方は、面で当てる感覚をつかみやすくなります。土手を柔らかくしたい選手のなかには、ダブルヨコトジの土手紐を1本抜いて調整する人もいるほどです。
同じサイズ・同じ深さのグローブでも「なぜか捕りやすい・捕りにくい」と感じる場合、この芯トジの違いが原因になっていることも少なくありません。

GSグローブの型は「捕り方」で選ぶ
GSグローブの内野用は、まさにこの「捕り方」を基準に型番が作られています。
当て挟み型・当て挟み型・改

「当て挟み型」は、名前のとおり当て捕りと挟み捕りを使い分けることを前提にした型です。ゴロはウェブの下で当てて捕り、ライナーやタッチプレーは中央からウェブの下で挟んで捕る設計になっています。
サイズは27.8cmとGSの内野用のなかでもコンパクトで、浅めにはめて使うのが特徴です。もう少し大きさが欲しい方には、5mmアップの「当て挟み型・改」(28.3cm)があります。改では人差し指のハミダシを二重にして、当てる・挟む動きをさらに安定させています。
掴み型

「掴み型」は、ウェブの下でしっかりボールをつかむ、オーソドックスな内野の動きに合わせた型です。サイズは28.5cm前後で、GSの内野用のなかでも最もクセがないモデルといわれています。
「当て捕りはまだ自信がない」「まずは確実に捕ることを優先したい」という方は、掴み型から始めるのがおすすめです。
鬼サード型
三塁手向けの「鬼サード型」(28.7cm)は、中央からウェブでしっかりつかむ感覚を重視した型です。強烈な打球が飛んでくるサードでは、掴み捕りの確実性が何より大切になります。小指2本入れにも5本指にも対応しやすいのもポイントです。
GSの全型番の特徴は、GSグローブの型番解説で確認できます。
自分に合う捕り方の見つけ方
自分に合う捕り方がわからない場合は、まずは掴み捕りを基本として身につけましょう。掴み捕りで確実に捕れるようになってから、状況に応じて当て捕りを取り入れていくのが理想的な順番です。
当て捕りの感覚は、いきなりノックで練習するよりも、日々のキャッチボールや壁当てで身につけるのが効果的です。キャッチボールのたびに「面で当てて、すぐ握り替える」ことを意識するだけでも、感覚は少しずつ磨かれていきます。
そして、捕り方が固まってきたら、それに合った型のグローブを選びましょう。捕り方とグローブの型がかみ合った瞬間、守備のリズムは驚くほど変わります。
捕り方がわかればグローブ選びが変わる
当て捕りは握り替えの速さ、掴み捕りは確実性、挟み捕りはその中間のバランスが強みです。そして、それぞれの捕り方に合うグローブは、サイズやポケットの深さだけでなく、土手のヒンジや芯トジ、人差し指の強さまで違います。
GSグローブは、この捕り方の違いから型番を設計しています。自分の捕り方に合った一本を探している方は、ぜひGSの内野用グローブを手に取ってみてください。



